墓じまいと永代供養 ― 増える背景とメリット・注意点
date_range2025/8/18
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三木市や小野市、明石市、神戸市で空き家の有効活用相談を行っている空き家有効活用株式会社の野村です。
先日、当社のスタッフが帰省した際、実家での両親との「墓じまい」について話したことを教えてくれました。
父:「墓はもう仕舞おうと思ってるんや。お前らも墓参りに帰ってきたり、管理したりは出来ひんやろ?」
スタッフ:「そうやな、それがいいと思うわ。永代供養ってやつやろ?」
父:「ご縁さん(実家では法事とか任せているお寺さんをこう呼ぶ)が体調崩して、話が出来てないんやけどな。」
スタッフ:「最近よく聞くから、増えてるんやと思うわ。墓じまいも大事やから、進めといてや。」
「自分たちの代で墓をどうするか」という問題は、多くのご家庭にとって避けて通れないテーマになっています。近年では「永代供養」を選ぶ方も増えており、空き家問題と同じように身近に感じる方が増えてきました。
今回は「墓じまい」と「永代供養」について、背景やメリット・注意点をわかりやすく整理しました。
目 次
墓じまいを選ぶ家庭が増えている背景
かつては「先祖代々のお墓を子や孫が守る」というのが当たり前でした。ところが近年では以下のような事情から「墓じまい」を選ぶ家庭が増えています。
子どもが地元を離れて暮らしている
→ 墓参りや管理が難しい
高齢になり管理が大変になった
→ 草抜き・掃除・法事の準備など負担が大きい
後継ぎがいない、子どもに負担をかけたくない
→ 維持できなくなる前に整理したい
寺院や霊園が遠方で通いにくい
こうした背景から「子や孫に迷惑をかけないために」「元気なうちに整理しておきたい」と考える方が増えています。
永代供養のメリットと注意点
墓じまいをした後の供養の方法として増えているのが「永代供養」です。これは、寺院や霊園が代わりに供養を行ってくれる仕組みです。
永代供養のメリット
後継者がいなくても安心
→ 管理や供養を寺院・霊園が継続して行ってくれる
費用が抑えられることが多い
→ 一般的なお墓を建てるよりも経済的
子や孫に管理の負担を残さない
→ 遠方から無理に帰省しなくてもよい
永代供養の注意点
供養の方法を確認する必要がある
→ 個別の納骨なのか、他の方と合同なのか
供養期間が決まっている場合がある
→ 33回忌や17回忌までなど、一定期間で合祀されるケースもある
菩提寺との関係を整理する必要がある
→ 檀家をやめる場合、お世話になった寺院への挨拶や手続きが必要
「永代供養」と一言でいっても内容は様々。契約前に「供養の仕方」「期間」「費用」「場所」をしっかり確認しておくことが大切です。
檀家やお寺との関係をどう整理するか
墓じまいや永代供養を考える際に一番大切なのが「檀家やお寺との関係の整理」です。
- まずはお世話になっている寺院に相談し、事情を説明する
- 永代供養をそのお寺でお願いできるかを確認する
- 他の霊園や納骨堂を選ぶ場合も、菩提寺には感謝を伝える
- 長年のお付き合いがある場合は「離檀料」が必要になることもある
特に地方では「お寺さんとのご縁」は長く続いてきたもの。墓じまいは「供養をやめる」ということではなく、形を変えてご先祖さまを大切にする方法だという気持ちを持ち、誠意を持って話し合うことが重要です。
まとめ
墓じまいは「自分の代で決断しておく」ことで、次の世代の負担を減らす大切な選択です。
永代供養を活用すれば、子や孫が遠方に住んでいても安心できますが、契約内容やお寺との関係整理はしっかり確認しておきましょう。
私たちが空き家問題を考えるときと同じように、「お墓のこと」も放置すると後々家族に大きな負担となります。元気なうちに家族と話し合い、準備を進めておくことが、残された人への大きな思いやりになります。
コラム担当者プロフィール
野村 和弘
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学卒業後、医療機器商社で営業を経験し、不動産業界へ転身。
賃貸仲介・管理を経て宅建士を取得し、売買や注文住宅の提案にも携わってきました。実家の不動産で悩んでいる方、空き家や相続の不安を抱える方と一緒に考え、丁寧に向き合うことを大切にしています。「頼んでよかった」と言っていただける瞬間が、この仕事のやりがいです。
